麗しき星の花

「うおおおおおおっ!」

 体を支配する恐怖を打ち破るべく、アストレイアを振り上げる。

 しかしそれよりも速くローズマリーの肘打ちがシンの側頭を撃った。更に回し蹴り、後ろ回し蹴り、ふらついたシンの頭を抱えて顔面に膝蹴り。意識が飛んだシンを放り投げ、魔力を使い果たしてフラフラの状態のリィへ歩み寄る。

 震える体を起こし何とか立ち上がろうとしたリィは、ローズマリーにその細い首を掴まれ、持ち上げられた。

「見事だ」

 まずは称賛を送る。

「最初に風と水を召喚したのも、泥沼で滑らせて私の体を濡らしたのも、今の攻撃に繋げるためか。魔銃を使ってうまく魔力の流れを誤魔化したな。自分の今の魔力ではたとえ女王を召喚しても私を倒すには至らないと踏んだのだろう? そのための積乱雲。……この世界の精霊たちとの連携、そしてシンとの連携も見事だ。なんの合図もなしによく合わせられたものだ。及第点をやろう」

 ローズマリーは僅かに微笑んだ。

「だが、それはあくまで『試合』での話だ。これが『戦場』ならば、てめぇは今ここで死んでいる」

 足が地面から離れ、更に首に力が加わった。息が出来ずにリィは苦悶しながらローズマリーの手を掴んだ。

 びくともしないその手は赤く爛れていた。その美しい顔も、体も、半分ほど火傷しているのが分かる。雷は間違いなく彼女にダメージを与えていた。しかし彼女は立ち上がってきた。彼女は、戦場で、まだ戦っている。

「どんなに力を持っていようと、最後まで立っていられなければ意味がねぇ。てめぇのお母様にも散々言ったことだがな」

「っ……」

 頚動脈の流れが止まる。

 意識が朦朧としてきた。

「なあ、これで終わるか? てめぇらの想いの強さはそんなものか。諦めて楽になるか?」

 ぐっ、と更に手に力が込められた。