麗しき星の花

 炎の精霊を纏った状態で水の精霊を召喚。

 何故、と思いながら、凄まじい水圧によって空高く投げ出されるローズマリー。

 そして理解する。

 くるりと回転し、紅い瞳に映った早朝の空。

 朝靄に包まれている空は薄暗く、闇に包まれて何も見えなかったはずだ。しかしその闇よりももっと濃い色が。空高くせり上がる真っ黒な積乱雲が辺りを覆っていた。

 真冬のこの時期に有り得ないことだ。自然に出来たものでないことは明白。それを創り出したのは。

「雷の名を謳う、我が名はリィファ。名の契約に従い、血の盟約に応えよ、ロイエ・トールディ!!」

 ドウン、と重い音がして、クローリスから銃弾が放たれた。暗黒の上空に碧い色の巨大な召喚魔法陣が展開する。

 積乱雲に円形状に黒い穴が開き、そこに現れる。

 金の装具をつけた雄々しい黒馬。そこに跨る金の甲冑に身を包んだ金の髪の乙女が。

「女王……!」

 ローズマリーは目を見張った。

 故郷、ミルトゥワから精霊の女王を召喚した。ミルトゥワからここまで喚び出すには、故郷でやるよりも魔力と精神力が必要だろうに、この幼い少女はやってのけた。

 雷の女王、トールディは金の槍を掲げた。

 ローズマリーは宙にいる。

 避けられない。


 積乱雲からいくつもの紫電が走った。

 その電撃を集めた槍を持ったトールディが、黒馬とともにローズマリーを貫く。