麗しき星の花

 青白い闘気が、赤い炎に包まれた。

 それが何か認識する前に、リィの体は衝撃とともに短い草の上を滑っていた。

「あっぶねええええ!」

 耳のすぐ近くでそう叫ぶのはシンだ。赤い炎を纏った姿に変わっているシンは、ローズマリーの踵からリィを救出するべく突っ込み、リィを抱えるとそのままの勢いで地面を滑り、転がっていったのだ。

「シ、シン」

 絶体絶命のピンチを助けてくれた兄に、リィは少し涙目になった。

 そんな妹の頭にポンと手を乗せ、シンはニイ、と笑う。

「よく耐えたよ、お前凄いな。……後は俺に任せて」

 そう言った後は真顔になる。

「完成させろ」

 リィにだけ聞こえるような声でそう言うと、さっと立ち上がりローズマリーに向かっていった。

 リィはその背中を見送り、こくりと頷く。

 ああ、気づいていたんだ。さすが私のお兄ちゃんだ。そう、笑みが漏れる。

 リィは動かない左腕からヴィオラを落とすと、右のクローリスだけを激しい戦闘の始まった戦場へと向けた。

 これ以上は駄目だ。

 その判断は間違いではなかった。

 これ以上魔力を使ったら、完成させられなかった。



 シンは口元から流れる血をぐい、と拭い、走る。

 炎の精霊サラマンダーを纏ったシンの、元から赤い髪はまさに炎のように燃え上がり、深海色の瞳も熱情を秘めた深紅色に染まっている。

 全身からユラユラと炎を立ち上がらせる姿はまさに闘神のごとく。走りながら二刀に剣を分解し、右の剣だけを逆手に持つ。