麗しき星の花

 リィは昔、ローズマリーに『貴女は近接戦闘向きではありませんね』とはっきり言われた。ある程度シンと同じ動きは出来ても男女の筋力の差はなんともし難かったし、リィの体質的に格闘家には向いていなかった。

 けれども力の弱い女であっても戦えるのだと、教えてくれたのは目の前に迫るこの人だ。

 リィの目つきが変わる。

「シルフ!」

 魔銃とは別に風の精霊を召喚。足元から巻き上がった風はリィの足に絡みついた。

 リィは魔銃や召喚術を多用して戦う。だからシンのように全身に精霊を纏うとあっという間に魔力切れを起こしてしまう。だから体の一部にだけ精霊を纏うのだ。

「いくよ、シルフ」

 風の精霊とともにふわりと足を踏み出し、飛んできた拳を掻い潜りながらローズマリーの背後を取った。そうしてクローリスから風弾を撃とうとして、その手を振り返ったローズマリーの足で払い落された。

 更に飛んでくる目に見えぬほど速い拳を冷静に受け流し、蹴りを受け流し、それでも避けきれない次の攻撃を、シルフの力によって無理やり足を動かして回避する。

「──っ」

 自分の意志ではなく、無理やり力の方向を変えるのだ。足の筋肉や骨が悲鳴を上げるのが分かった。

 だが耐える。

 足を止めればシンのように攻撃を喰らう。あれを喰らったらリィは二度と、永遠に起き上がれない。

「もう少しイケそうだなあっ!?」

 更に拳のスピードが上がった。

 リィは限界まで意識を集中させ、空気を切り裂くような鋭い攻撃を回避し続けた。捌きながら魔銃から三日月にも見える風の刃を繰り出す。銃口を巧みに体に隠し、弾道を読ませない。