麗しき星の花

 これが魔力を使わない人間の拳だろうか。

 ローズマリーは魔力をほとんど持たない。その身ひとつで魔族とやり合ってきて、そして惑星王を護っている。

 恐ろしい。

 なんだこの人。

 今の攻撃を受けたのが自分で良かった。リィだったら耐えられなかった。

 今更ながら、自分の師匠が化け物であることを知る。そんなシンを碧い光が包み込んだ。リィのヴィオラから救命弾──シルフの癒しの力が飛んでくる。

 その温かさを感じた瞬間、戦慄した。

 前衛の自分が崩れた。そうしたら次に狙われるのは後衛。リィだ。

「に、げ」

 腹から声を絞り出そうとしても、出てくるのは呻き声ばかり。

 リィはそんなシンにもう一発救命弾を撃ちながら、視線はローズマリーへ。クローリスで風弾を撃ち続ける。

 しかしそんなものはまったく意に介さない紅い鬼は、唇の端を上げながらリィに襲い掛かった。

「リィ! てめぇは自分の弱点がどこだか解ってるはずだな!」

 瞬きするよりも早く、ローズマリーが肉薄してくる。

「ならそれを上回る得手で攻め込んで来い! 出し惜しみなんてしてんじゃねぇぞ!」

 飛んできた拳を体を仰け反らせて躱したリィは、そのままバック転をしながら後退する。

 更に飛んでくる拳を手をついたり、飛び上がったりと、体の柔軟性を活かしてくるくる回りながら回避。そうして最後に高く跳躍した。宙でくるりと回り、クローリスとヴィオラから風弾を同時に発射する。

 飛び出した渦巻く風でローズマリーを吹き飛ばすだけでなく、自分も後方へ飛び退り、距離を取る。

 確かに出し惜しみなどしていられない。

 シンは回復させたが、魔銃は出が速い分、威力が弱い。完全に回復させることは出来なかった。彼が動けるようになるまでなんとか保たせなければ。