麗しき星の花

「もうバレたか」

 うまく隠したつもりだったのに。

 ギリ、と歯軋りするシンとは対照的に、ローズマリーは実に楽しそうに微笑んだ。

「小賢しい」

 紅い瞳が愉悦に歪む。

 その禍々しさに心臓を跳ねさせた一瞬のうちに、ローズマリーがシンの目の前まで迫った。そして長い脚を振り上げ、強烈な踵落とし。

 それを避けた瞬間、はっとした。

 狙いは自分じゃない。

「っ、リィ!」

「うらああああああっ!」

 雄叫びとともに青白い闘気を纏った踵が振り下ろされ、地面を砕く。後方で援護をしていたリィの足元まで、一直線に地割れが走った。

 リィはこれを飛び退って回避。それを視認してホッとする。

 だが。

「こんの馬鹿が!」

 ローズマリーがシンの懐に潜り込む。

「この私を前に」

 紅いグローブの填められた手が、拳を作る。それを回避しようとアストレイアを構えるも、すり抜けるようにして拳が襲い掛かってきた。

「余所見なんか、してんじゃねえええええっ!!」

 まるで大砲を撃ち込まれたかのような衝撃がシンの鳩尾に叩き込まれた。息が止まるどころではない。心臓さえ止めかねない衝撃に、シンは体をくの字に折り曲げたまま飛ばされた。そのまま短い草の上を随分遠くまで転がっていく。

 反射的に置きあがろうとして、しかし失敗して地面に崩れる。

 畜生、と呟いたはずの声に代わり、胃液と血が吐き出された。

「ぐ、はっ、は!」

 息が出来ない。魔力の流れが乱れ、金色に輝いていた髪が赤色に戻る。ウィスプの防御などまるで関係なしに飛ばされた。肋骨も何本か逝ったし、内臓が破裂した。耐え難い痛みに悶絶する。