麗しき星の花

 それでもリィが焦る様子はない。彼女の風弾は寸分違わず、ローズマリーの右肩を狙っていた。利き腕を潰す気だ。時間をかければ防御を崩されるかもしれない。高速で動き回る兄に当てることなく、確実に敵を撃ち狙うその集中力と読みの鋭さには舌を巻く。成長したのだなと、嬉しくも思う。

 リィの射撃の腕もやっかいだが、その前に、目の前にいるシンだ。

 ローズマリーは注意深く違和感の正体を探る。

 払い落とした剣は、直様軌道を変えて襲いかかってきた。それを避けるのは造作もないことだった。

 避けて、すぐに踏み込み、掌底を腹に叩き込む。シンはこれを上手く身を退いて避け、体を回転させて剣を横薙ぎ。これをローズマリーが避けると更に踏み込んできて、下から斬り上げた。

 これを避けたローズマリーのピンクブロンドの巻き毛が、ハラリと宙に舞う。

 シンは更にそこから星を描くような複雑で速い連撃でローズマリーを追い詰めていく。その剣先が肌を掠めて、ローズマリーは目を見張った。

 完璧に避けているはずが、剣先が掠めていく。

 剣が、“伸びるように襲いかかってくる”。

「ふんっ!」

 まだ襲いかかろうとするアストレイアの剣身を力技で叩き落とし、がら空きになったシンの腹に蹴りを入れる。容赦ない一撃でシンの体は吹っ飛んだ。

 距離を置いて、一息つく。ローズマリーの視線はシンの手元に注がれた。

「成る程な、柄を持つ位置を変えているのか」

 剣身が伸びるように見える、その種明かしをすれば簡単で。柄を持つ位置を変えているから剣が伸びたり縮んだりして見えるのだ。それにまんまと惑わされれば、あっという間にアストレイアの餌食にされるところだった。