麗しき星の花

 覇龍闘がリィの肩に鋭い掌打を放った。この鋭さは中国拳法。彼は龍娘流中国拳法の使い手でもあるのだ。

 戦況に応じて使い分けられる技はやっかいだ。この器用さを兄にも見習って欲しい━━なんて思いながら掌打を半身でかわし、そのままくるりと回りながら覇龍闘の真横に移動し、膝裏に蹴りを当てた。体勢を崩したところに、頭部への強烈な後ろ回し蹴り。

 雪の上に片手をついて倒れ込んだ覇龍闘は、そのまま逆立ちしての蹴り技、穿弓腿(せんきゅうたい)を放つ。

 それは鼻先を掠めたが、なんとかバック転で回避。一旦距離を置いた2人は、素早く体勢を整え、再度踏み込んだ。

 掌打を突き出せばかわされて。蹴りを放てば逃げられて。

 リィと覇龍闘、お互いがそうだった。

 大技を放つわけではない。小さくとも速い攻撃の応酬だ。下手に大振りの攻撃を仕掛ければ、あっという間にひっくり返される。それが互いに分かっていた。

 目ですべてを追えないほどのスピードで展開される戦闘。それなのに、手応えがない。目の前に確かにいる存在に、手が届かない。まるで流れる水の中にたゆたっているような感覚。

 相手が攻撃を仕掛けた瞬間に動き出すスタイルの覇龍闘と、同じく相手に合わせてカウンターを仕掛けるリィのスタイルは同じ。

 ああ、自分たちは似た者同士だったのか。そう感じながら、降り積もる雪を吹き飛ばす勢いで踏み込む。

 これで決める。

 そう意気込んで手を伸ばす。

 リィは覇龍闘の攻撃を上手くかい潜り、踊るように回りながらその手首を掴んで━━。

「そう何度も投げられてたまるか!」

 手首を捻り切らないうちに、覇龍闘は突き飛ばすようにしてリィから逃れた。吹っ飛ばされたリィは片手を雪の上につきながら後方に滑っていく。