麗しき星の花

 射線が読めなかった覇龍闘は雪の上を転がりながら給水塔の陰に入る。リィは白い頬から薄っすらと血を滲ませていたが、それを気にすることなく、足音を立てずに走る。

 素早く移動したリィは、覇龍闘が隠れた給水塔の上にふわりと飛び上がり、気配を殺したまま、彼の頭上に躍り出る。

「っ!」

 しかし上からの攻撃に気づいた覇龍闘は、鋭く落とされる踵を回避。雪の上に着地したリィに低い体勢で回し蹴りを放つ。これを転がって回避したリィは、彼から距離を取る。

「完全に、気配は消したと思ったのに……」

「俺の上にだけ雪が降ってこなくなったんでね」

「なるほど……鋭い」

 そう言うリィは、嬉しそうだった。柔らかく微笑んで、しかしその表情とは真逆の、鋭い銃弾を浴びせる。それは覇龍闘の肩を掠めていった。制服代わりに着ている紺色の拳法道着が千切れ飛ぶ。その間にリィは闊歩で間合いを詰めていた。気がつけば、 目の前。

 覇龍闘は咄嗟に全身を脱力させた。そして、その状態で流れるように足を引き、リィの掌打を受け流す。

 ロシア軍隊格闘術、システマ。ロシアの合気道とも呼ばれる、実践的格闘術を身につけている覇龍闘は、足を引いた瞬間に攻撃に転じた。

 引いた足をそのまま浮かせ、リィの足を絡め取る。同時に突き出されたリィ手を取り、捻りながら投げとばす……はずが。

 リィの手はゆらりと逃げていき、逆に覇龍闘手を取った。

「ぐっ!」

 気がついたら投げ飛ばされていた。容赦なく頭から叩き落とされて、視界が白く飛んだ。それでも覇龍闘は寝転がったままにしなかった。目が回復しないままに、リィから離れる。追いかけてくる気配を発砲して牽制し、何とか距離を置いた。