「なんなんだよお前ら! 飯くらい自分で食うから放っとけ!」

 身動きが取れないシンは、今朝からずっと困惑している。なんでコイツらはずっとくっついているのだろう、と。まあ野菊にくっつかれて、多少顔は赤くなっているのだけれど。

「そうですわ、離れなさい、この破廉恥娘!」

「そっちが離れなさいよ、おっぱいおばけ!」

なんとも姦しく言い合う2人に、「お前らいい加減にしろー!」と怒鳴る勇者子息。


「……お前たち、こんな衆目の場で何をしている……」

 瑠璃一味頭目、瑠璃が赤い顔をしながら注意をする。

「そうアルっ! シンは勇者のくせに破廉恥アルっ!」

 瑠璃に同意する鬼龍。

「まあ、英雄色を好むって言うからなぁ。好きにしときゃいいんじゃねぇの」

 龍之介はそう言いながらめのうのお尻をナデナデして、彼女に「もう、りゅーちゃんたらぁ」と笑顔で夜桜で斬られた。その横で、

「中学生であんな破廉恥な真似……どう思います、奏多さん……」

 魔少年ビームを放ちながら奏多の腰にさりげなく手を回し、メロメロにしているのは孔雀。

 そんなハートが飛び交う光景からこの子達を守らなくちゃ! と咲花がシルヴィとすずを抱きしめて視界を遮っていたりして、昼でごった返す食堂はまさにカオス。

「……なあ、あれ、助けてやらなくていいのか?」

 カオスな光景を一歩引いたところから見ていた霸龍闘が、シンが大変そうなのに黙って見守っているリィに声をかける。

「うん……」

 それに対し、リィは静かに溜息をついただけだった。