おまけ。



 当日、いつもの仙豆クッキーとカラフルなカップケーキ(こちらはリィが霸龍闘へ作ったもののお裾分け)を持って待ち合わせ場所に行くと、ツインテールを揺らしながら野菊が手を振っていた。

 その姿ときたら。

 天気がいいとはいえ、お尻のラインが丸分かりなホットパンツ、しかも生足。トップもブルゾンを羽織ってはいるものの、鎖骨丸えのカットソーは寒そうだ。実際、両足を擦り付けるようにしているし。

「……寒くないの?」

 そう訊いたら、野菊はてへっと笑った。

「だって、シンくん、こういうの好きかと思って。どう? かわいい?」

 くるりと一回転してみせる野菊。

 ……いや、まあ、好きだけど。シンは足フェチなので。

 でもこんな涼しい日に露出多めだと風邪を引いてしまう。

(ああ、だから)

 シンは納得した。

 今朝出かけるときに、リィにマフラーを巻いていけと言われたのだ。

 シンはあまり寒さを感じないので必要ないと言ったのだが、絶対に役に立つから持っていけ、と言われ、首に巻いてきた。

(こういうことか)

 シンは溜息をつきながらマフラーを外し、野菊の首にぐるぐると巻いてやった。適当に巻きつけたので、野菊の顔半分がマフラーに埋まってしまった。

「ほえ?」

「……この方が、かわいいよ」

 ちょっと照れたのでぶっきらぼうにそう言うと、野菊は「えへへぇ」と笑った。

「シンくん、あったかいねぇ」

「そうだろ」

「シンくんのぬくもりだよ、あったかいねぇ」

 ぴとりと寄り添ってくる野菊は、ちょっと冷たい。

 彼女の持っているバッグを取り上げ、空いた手を繋いでやった。

「この方があったかい」

「うんっ、あったかい!」

 そう言う野菊の笑顔もあったかい。

 それを見るシンの心もあったかくなるのだった。