麗しき星の花

 次に訪れたのは櫻井家。

 診察時間が終わってから医院を訪ねると、聖と李苑で答えてくれた。

「デート……最近は、なあ」

「そうですね、家族旅行になってしまいますね」

 そうか、そうだよな、とシンは頷く。子どもたちはまだ小学二年生と幼稚園。二人きりでのデートは難しいだろう。

「じゃあ、昔はどんなところに行きました?」

 そう訊ねたら、二人共笑顔のまま固まってしまった。

 あれ、どうしたのだろう。不思議に思いながら返答を待っていると。

「……学校の帰りを一緒に、する……とか?」

「そうですね。まあ、住んでいるところが一緒でしたので……」

「えっ、同棲!?」

 真面目そうな2人が学生の頃からそんなことを! と驚いて叫ぶと、同時に「違う!」と返ってきた。

「隣だ。隣の部屋」

「そ、そうです」

「ああ、でも、同じ家にいたこともあった……のか」

「……そうですね」

「それ同棲ですよね」

「違う」

 そんなやり取りを何度かした後、東京一周ツアーや、遊園地デートのこと、武家屋敷までの波乱万丈デートのこと、学生らしい予備校デート、東京都庁デートなどを話してくれた。

 互いに忙しくて、あまりデートらしいデートはしていないとのことだったが。

「今まで聞いた中で一番普通です」

 さすが師匠! とシンは嬉しそうに顔を輝かせた。

「参考になったのならいいけど……多分、一番普通じゃないと思うよ……」

 聖は少し遠い目をした。李苑の目も遠かった。

 今話した場所は、全部2人で“戦いに”行った場所であるから。

 だがシンが満足そうに帰っていったので、2人はそのことは黙っておいた。