麗しき星の花

 次に向かったのはファンシーな雑貨屋『KANON』。

 隣には大きな洋館が建っていて、そこが善と花音の新居である。近々引っ越すようで、橘邸では引っ越し祝いは何がいいかで奏一郎と律花が揉めていた。

『絶対にストラディバリウスです!』

『いいや、指揮棒! ムラマツのに限る!』

『そんなものを引越し祝いに贈る人がどこにいますか!』

『ストラディバリウスだって同じだろう! 花音はもう持っているじゃないか!』

『いいんです、善くんに差し上げるのです! そうして子どもが生まれたら代々受け継いでもらって!』

『それは出産祝いにしなさい! 今回は指揮棒!』

『そんなものを贈る人などいません!』

 ……エンドレス。

 たぶん今日あたり、和音が仲裁に入るのだろう。翡翠先生を見習って、ちゃんと住む人のことを考えたものを贈ろうね、と。



 花音はちょうど店にいたので、同じように質問してみた。すると、花音は「ええええええーっ」と声を上げて真っ赤になった。

「で、デート? え、ええと……その……私たち、まだそういう関係じゃ……」

「え?」

「ま、まだ、文のやり取りから一歩前進したところだから……」

「……」

 でも、もう結婚するんだよね? 婚約したよね?

 シンは首を傾げる。

「こ、ここ、今度、善くんに、言ってみるね……で、でーとは、いつにいたしますか旦那様っ……ひゃあああああー」

「……がんばってください」

 聞く人を間違えた、とシンは雑貨屋を後にした。