麗しき星の花

 学校を出たところで、山の方から飛んでくるでっかいカラス……いや、鴉天狗を見つけた。鷹雅だ。

「鴉さん! 鴉さんは遊里さんとどこにデートに行きますか!」

「ああ? でぇと? んなもんしねぇよ」

 鷹雅はバサリと黒い羽を背中にしまい、ふんぞり返ってそう言った。

「……しないんですか」

「しねぇ。小猿相手にんなことしてやる必要はねぇ。ただでさえ幼稚園までの送り迎えが大変なんだからよぉ。毎日毎日、抱っこして運んでやんなきゃなんねぇんだぞ? この大妖怪鴉天狗の俺様を働かせてんだ、その対価として休みには天神温泉に付き合ってもらうけどな。どういうわけかアイツはマッサージだけは上手いからな。日頃の俺様への感謝の気持ちとしてデリケートゾーン(頭皮)マッサージは当然のこと、背中も流してもらわないとな」

 なんだかんだ文句を言ってるように聞こえるけど、嬉しそうだよなぁ、とシンは思う。だって口元が緩んでるもん。

「って、やべっ、幼稚園終わっちまう! めんどくせぇけど遅れると文句言いやがるからなアイツ。じゃあな、チビ!」

「チビじゃなくてリィシンですっ!」

 鷹雅は慌てたように天神幼稚園へ走っていった。

 その顔はやっぱり嬉しそうだった。


 鷹雅は温泉デート。それもまあ、いいかなぁ……と想像して、シンはブンブンと頭を振った。いかん、温泉はまだ早い。それは駄目だ。自分はまだ野菊の彼氏(仮)だ。