麗しき星の花

 リィの元を離れてからようやく『デート』の行き先について聞きたかったのだと思い出すシン。

 そういえば今日は和音が演奏旅行から帰ってきていたではないか。色々経験豊富そうな色男に聞いてみることにしよう。


「和音さーん!」

 橘ファミリーのリビングで声をかけると、読書をしていた麗しい美貌の男性が顔を上げた。

「やあ、シンくん。どうしたんだい?」

「ちょっと聞きたいことがあって」

「なんだい?」

「和音さんなら、デートでどこに連れてく?」

「デート?」

 ふむ、と和音は考える。

「相手にもよるかな?」

「あ、じゃあ、水琴さんで」

「水琴さんか……。そうだな、最近は賑やかな場にいることが多かったから、ゆったり寛げる場所がいいかな」

「例えば?」

「いつもヨーロッパに行くことが多いから、南の方へ行くのもいいね。久々にパームビーチか……ドバイもいいかな。ロスカボスも最近は行ってないし……ああ、でも近場でハワイもいいかな。オアフ島の別荘は水琴さんも気に入ってくれているし……ああ、うん、そこにしよう。お気に入りの場所で寛いでもらうのが一番だからね」

 出てきたのは全部海外だった。

 日本の地名すら覚えてないのに、世界の地名など知るはずも無いシンにはどこだかさっぱり分からない。おまけに気軽に連れて行く場所としては遠過ぎる。シンは聞く人を間違えたと思った。