麗しき星の花

「ええと……デートとは、二人で外出をして、一定時間を共に過ごすことをいうの……」

 辞書を引いて出てくるような答えを、とりあえず言ってみる。

「じゃあ、野菊を連れて出かけて修行すればOKってことだな!」

「だめ」

 間髪入れずにダメ出しをするリィ。成長したと思ったらこれだ。

「それじゃ野菊ちゃんが楽しめない……一緒に楽しい時間を過ごすの」

「楽しい時間。……じゃあ、どんなところがいいんだ」

「たとえば……」

 リィは辞書に載っているような場所を思い浮かべてみた。遊園地、水族館、映画館、ショッピング等々。
 
「シン、今月のお小遣い、残ってる?」

「……いや」

「使っちゃったの?」

「いや、貯めようと思って……」

 その言葉にリィは目を見開いた。

 ついこの間まで趣味に使ってすぐに金欠になっていた兄が、堅実に貯金を始めた!

「だってさー、父さんは母さんと結婚するって決めてから、ギルドで随分貯めたって言ってただろ?」

「うん、家買って一生暮らせるくらいには貯めたって、言ってた……」

 そう。父フェイレイは、プロポーズどころか交際の申し込みもしないうちから母リディルと結婚すると勝手に決め、コツコツ貯金していたのだ。

 まあそのお金、魔族との大戦後、国の復興のために全額寄付したので、すっからかんになっていたけれど。

「だったら俺もそうする。今から貯める」

「シン……!」

 それでこそ父様の息子、勇者子息、そして私の大好きなお兄ちゃんだ。

 父と違い、働いて報酬を得ているわけではないので、貯めると言っても微々たるものだが、その心意気こそが大事なのだ。野菊との付き合いはシンを大人にさせている。そのことが妹にとっては非常に喜ばしい。

「がんばって、シン。私、応援する……」

 シンの手を取り、目を潤ませるリィ。

「ありがと。頑張るな!」

 妹に励まされて、ますますやる気が出たお兄ちゃん。

 ……はて、何しに来たんだっけ?