麗しき星の花

「や、あの……自分では悪いとは、思ってません」

「だろ? んじゃ問題ねぇだろ、妖精さんで」

「……あの」

 シンは恐る恐る神楽に訊ねた。

「俺が、妖精……いえ、『精霊』に、見えるんですか」

 そんな馬鹿な、とシンは思っていた。

 誰が見ても普通の人間にしか見えないはずだった。莫大な魔力を擁している、ただの人間。そう見えるはずだ。

 確かにグリフィノーの血は人と精霊との混血。あまりにも強いその血は、千年経っても薄まる気配はない。人を超え、精霊をも超える血であり、長きに渡って『呪われし穢れた血』とされていたものの、フェイレイによって浄化され、『真の勇者の血』となった。

 それは人の皮を被った妖精。まさに神楽の言う通りではある。だが──。


 神楽は僅かに首を傾げた。

「違うのか?」

「……いえ、違わないんですけど……その、ちゃんと『判る』人がいたことが、ビックリして」

「ふうん? ま、見るヤツが見れば判るけどな。オマエも知ってんだろ?」

 神楽は聖に視線をやる。

「まあ、な」

「あ、もしかして妖精って隠してんのか? だったら謝るけど」

「いえ、隠しているわけではありません。……『勇者の血』を、俺は誇りに思っていますから」

「なんだ、じゃあ全然問題ねぇじゃん。気ぃまわし過ぎなんだよ聖は」

 聖が神楽にバシバシ背中を叩かれる。今度は聖が不機嫌そうになっていた。

「で、なんで妖精さんがここにいんだよ」

「あ、あの。俺は妖精さんではなく、リィシン=グリフィノーといいます」

 シンは右手を差し出し、握手を求めた。

「ああ、そうか。俺は和泉神楽だ」

 シンの手を取り、神楽も自己紹介をする。素直に応じてくれるあたり、口調ほど悪い人ではないようだ、とシンは感じた。