「……何見てんだよ?」

「ん……?」

 まさかかっこいいから見惚れていたとかではあるまいな、霸龍闘に告げ口するぞ、と疑いの眼差しを向けると、リィは両手を胸の前で組み、ほう、と溜息を吐いた。

「櫻井先生は、私の、心の師匠だから……」

「心の師匠?」

 ナニソレ、とシンは眉を潜める。

 もちろん、『偉大なるS』の師匠だ。



 ランニングは拓斗とリィで済ませたというので、軽い準備体操の後、いつものようにリィとの組手から始める。

 それを見学しながら、聖は拓斗と話し込む。その手には昨日送られてきたフェイレイからの手紙があった。

「今は徹底的に基礎をやっているよ。フェイレイさんからもそう言われているし」

 と、拓斗。

「ああ、剣を見せてもらったけど、あれを自分の体の一部のように振り回すにはもう少し筋肉が必要だろうな。体のバランスも見て鍛えないと」

 アストレイアの長さは刀で言うと大太刀ほどあり、分解して二刀になるというだけあって幅が広い。あの身長、あの細さでよく振り回せるものだと感心するほどだ。よほど体術と剣の基礎を叩き込まれているのだろう。

「まだ伸び盛りだからね。あまり無理はさせないようにしてるんだ。これから急激に身長も伸びてくるだろうから……あと3年くらいしたら本格的にやりたいなと思って」

「じゃあ、剣の稽古も基礎を中心に、かな」

 なんて師匠たちは話している。

 あと3年後には本格的に体を鍛えるらしい。……今ので本格的じゃなかったのか、と琴音あたりが言いそうだ。