「分かったよ」

 聖の声に、シンは弾けるように頭を上げた。

「先生! じゃあっ!」

「ただし、毎日は無理だ。頑張っても三日に一回。いいかな?」

「はい! いいです!」

「一度拓斗くんと、それから君のお父さんとも話したい。出来る?」

「はい、今すぐ手紙を書きます!」

「それと、拓斗くんやリィファちゃんとの修行風景を一度見せてくれ。参考にしたい」

「はい、拓斗さんとは橘邸で、朝の五時からやってます!」

「五時……」

 時間を聞いて、聖がどこか遠い目になった。

「やっぱりやめようかな……」

「ええっ!」

「くすくす……ちゃんと起こしますから、大丈夫ですよ」

 聖の呟きに李苑が笑っている。

 実はこの人、朝が大の苦手なのだ。友人たちには『寝坊大魔神』と呼ばれたこともある。

「俺も迎えに来るから、よろしくお願いします、先生!」

「あー、うん、頑張るよ……」

 早起きすると聞いただけでもう疲れた様子の聖には、少し頑張ってもらうことにして。

 シンの新たな修行が、始まろうとしていた。