待つこと数日。

 チャイナドレスを着た着せ替えうさぎが香港から送られてきた。贈り主は夕城善。

「……んん?」

 花音は首を傾げる。

 善が旅行先から送ってきてくれたものらしい。まさかわざわざこれを買いに……?

 そう思いながら、大事にオレンジの隣に飾る。


 更に数日後、着せ替えうさぎのためのお洋服をちくちく縫いながら待っていたところ、今度はロンドンから探偵の服を着た茶色のぬいぐるみが贈られてきた。

 花音はそれも、大事に飾る。


 更に数日後、探偵うさぎで探偵ごっこをして遊んでいたら、赤いドレスを着たうさぎのぬいぐるみがバルセロナから送られてきた。

 花音はそれも、大事に飾る。


 更に数日後、何故だかとても浮気をしていないか心配になってきたところに、メキシコからメキシカンハットを被ったうさぎが送られてきた。

 他にも各地から様々なうさぎが送られてきていたので、花音の部屋は世界中のうさぎで埋め尽くされた。ここは世界の縮図か。


「……」

 様々な地域から送られてきたうさぎを前に、花音は考えた。

 自分は、善に何かしてあげていたのだろうか、と。

 最後に送られてきたメキシカンハットうさぎを眺めていた花音は、スマホを取り出した。

「……も、もしもし、更紗様! 私においしい和食の……お袋の味の作り方を、教えてください!」