「おかしいな、俺、リィの部屋で寝たんだっけ?」

 その部屋の主、リィはここにいない。ベッドを交換して寝たのだったか。いやしかし、そんな記憶はないのだが──と、昨日の事を思い出そうとしながら、リィの部屋を出て自分の部屋に行ってみる。

 ドアを開けると、自分のベッドの布団がこんもりと膨らんでいるのが見えた。

 やはり交換して寝たのか。はて、いつの間に。

 疑問に思いながらもリィを起こすべく、布団を引っ剥がす。

「おーい、起きろ、朝だ、ぞ……っ!?」

 そしてそこで固まった。

 布団を剥がれてもまだ気持ち良さそうに眠っているのは、自分だったからだ。

「お、俺……!?」

 シンは、寝ている自分をジッと見下ろした。

 何度瞬きしても、目をこすっても、赤い髪の少年がベッドで眠っている光景に間違いはない。

 じゃあここにいる自分はなんだ。

 視線を自分の両手にやって、愕然とした。

 小さい。

 細い。

 白い。

 服がキャミ&短パン。

「……!?」

 シンはしばらく固まった後、クローゼットを開けた。そこに姿見の大きな鏡がついていたからだ。

 鏡に映ったのは、ふわふわハニーブラウンの髪に、翡翠色の瞳をした女の子だった。

 シン、思考、一時停止。

「……な」

 鏡の中のリィが、ワナワナと震えながら自分を指差している。

「何だこりゃああああああー!!!!!!!」