麗しき星の花

「な……お前ら、どうした!」

 西館側にいた男たちが、座り込んだ男たちの肩を揺さぶる。皆一様に眼球が上下、左右に動いていた。

 脳を揺らされているのだ。

 一歩踏み込むごとに、リィは男たちの伸ばしてくる腕をかわし、顎に目掛けて拳を見舞っていた。ほんの少し掠る程度だ、男たちは痛みも感じていないだろう。しかし、恐ろしく速い一撃だった。その拳が脳を揺らしていた。

 まだ声をかけられ、道を塞がれた程度。それに対する反撃としては、これくらいが丁度いいだろう──そう、仏心を出したのが間違いだったか。

 東館側にいた一際体の大きい、筋骨隆々とした男がリィの頭上から睥睨してきた。

「ちょいと待ちな、お嬢ちゃんよぉ。俺たちはちょっと遊ぼうって声かけただけだぜぇ? なのにこの仕打ちはねぇんじゃねぇの? ちょっと武道をかじってるみてぇだが、せっかくの腕をこんな暴力に使っちゃいけねぇなぁ」

 両手を組み、ボキボキと骨を鳴らす大男。

「俺も普段は優しい男なんだが……いけないお嬢ちゃんには、お仕置きが必要だよなぁ。その体にきーっちり、教え込んでやらねぇとなぁ……?」

 リィは大男を見上げる。

 こいつだけは他の者と違い、きちんと鍛えられた者の気を放っている。

 一人ならば活歩を使って走る抜けることも可能だが、今は琴音を連れている。魔銃を出して一瞬だけ怯ませれば逃げられるだろうか。人の多いところまで行けば追いかけては来まい……そう思いながら琴音の手を強く握ろうとして、その前にその手が離れていった。

「きゃあああああっ」

「琴音っ……」

 振り返ると、今リィが脳を揺らして跪かせた男のうちの一人が、琴音を力任せに引っ張って捕まえていた。

「ボスぅ、やっちゃってくださいよ、こっちは俺らが捕まえておきますんで」

「いやっ、離してぇっ」

 顔を歪める琴音に駆け寄ろうとして、リィはハッと振り向いた。