「お店の方に相談するのも恥ずかしいですし……ど、どうでしょうか」

 フィッティングルームでモジモジしながら、リィに試着した姿を見せる琴音。

「……大丈夫。ちゃんと、合ってる……」

 リィはいつも以上に眠そうに目を細め、頷いた。

(う、うう。こっちも抜かされそう……)

 橘家の家系はそこそこボリューミーだ。ふんわりマシュマロにリィの胸の内に嫉妬の炎がチラチラ。せめて黄金比率だけは死守するべし、と決意を新たにする。


 その後はお茶をしたり、他の店も覗いてみたりとショッピングを堪能した後、他の店を見て回っているシンと玲音、シルヴィとの待ち合わせ場所へ向かう。

 休日のショッピングモール内は人だらけだが、東館と西館を繋ぐ回廊は不自然に人の流れが途切れていた。

 リィが不穏な空気を感じ、すっと目を細めたところで、前方から大柄な男たちがやってきた。リィと琴音の姿を見つけると嫌らしく顔を歪める。

「なんだ、ガキかぁ。……でも、まあ、綺麗っちゃ綺麗だな」

「俺はこんくらいのが燃えるなぁ」

「あっははは、ロリコンかよ、てめえ」

 ゲラゲラと下品な笑い声を響かせる男たちに琴音は身を縮め、そんな彼女を庇うようにリィが前に出る。

「よお、お嬢ちゃん、俺たちと遊ばないかぁい?」

「……だって。どうする、琴音」

 一応、背後の琴音に確認を取るリィ。

「え、遠慮いたしますわ。私たち、これから行くところがありますの」

 少しだけ震えながらも、琴音は毅然とそう答える。