「ミルトゥワと地球を行き来出来る魔法陣を考えてる……今のままじゃ、父様と母様がいないとだめだから……せめてシン一人で出来るようにしないと……野菊ちゃんがすぐに帰りたいって言ったときに、困るでしょ……」

「あ……そ、そうだな」

「それに、少ない魔力で行き来が可能なら、地球に住みつつミルトゥワに考古学の研究(仕事)に行くことも可能。……どちらがいいかは、二人で話し合って」

「おお、ありがとな……」

「でも、そんな魔法陣が完成したら、グリフィノーだけの秘匿扱いにした方がいいと思う……悪用されると困る……」

「そうだな、うん、そうしよう」

「でもまだまだ完成しそうにないから……それを全部頭に叩き込んで、それから一緒に考えようね……」

「う、わ、分かった」

「それから、大気成分と時間軸の違い、病原菌に対する考察のまとめ、イグサはミルトゥワで育つかどうかの研究報告……あと、色々、書いておいた……」

「……凄いな、お前」

「野菊ちゃんのことを本気で考えるなら、これくらいすべき……ちゃんと、現実を見てね……」

「……分かった。ありがとな、リィ。俺、がんばる」

「うん」

 その前にシンはすべきことがある。

 誰からも認められる、『勇者』になること。そして。

 野菊に、ちゃんと「ついてきてほしい」と伝えることだ。今のところ、肝心なその部分が忘れ去られている。大丈夫なのか、勇者子息。土壇場でフラれないことを祈る。