麗しき星の花

「本気?」

「え?」

「本気で……野菊ちゃんを連れて帰るつもり……?」

 どうやらシンは夏祭り以降、クラスメイトの野菊を嫁にする、と決意したらしい。それまではどんなに仲良くしていても、彼女とかそんなんじゃない、勇者への志半ばで女に現をを抜かしている場合じゃない、とかなんとか言っていたのに。

 どういういきさつがあったのかは2人にしか分からないことであるが、なんともまあ、唐突に決意したものだ。しかも『彼女』という認識をすっ飛ばして『嫁』に落ち着くあたり、直情的なシンらしいといえば、らしい。


 首を傾げながらも真剣な瞳で訊ねてくるリィに、シンも顔を引き締めた。

「ああ」

「色々、大変だよ……? シンじゃなくて、野菊ちゃんが……」

「それは分かってる。俺らも肌に合わない星では苦労したもんな。野菊がミルトゥワを受け入れられるかどうかも分からない。でも、精一杯フォローする。どうしても駄目なら、俺がこっちに残っても……いいかな」

「ミルトゥワの古代文明を解き明かすっていう夢は……?」

「……それは、まあ、仕方ねぇよ」

「ふうん……」

 シンの想いはどうやら本気らしいことを知るリィ。

 彼の一番の夢は父のような勇者になることであり、それは地球でも叶えられる夢だ。しかし、ミルトゥワの古代文明を解き明かしたいという夢は、ミルトゥワでしか叶えられない。今まで一度決めたことを覆すことはなかったシンが、それを覆してもいいほど、彼女が大事になったということだ。