シルヴィはにこにこしながら、シンに飛びかかった。バランスボールがグラグラ揺れたが、構わずそのまま兄ちゃんのほっぺにちゅー。

 それからぴょん、と飛んで、バランスボールに立つリィに正面から抱きつく。リィがなんとかバランスを取っているうちに、そのほっぺにちゅー。

 シルヴィはしあわせそうに笑っていた。

 それを見て、シンとリィも微笑み合う。




 その日、シルヴィは原稿用紙にこう書いた。



『じいちゃんたち、ばあちゃんたち、しあわせを生んでくっちありがとない。かんしゃのしるしに、兄ちゃんと姉ちゃんと一緒に、花かんむり作って贈ってやっかんない』



 敬老の日、橘家の奏一郎と律花には直接手渡され、故郷に送られたもののひとつはアストラ村に、もうひとつは皇宮に届けられ、それぞれ墓前に捧げられた。