「あ、それ一個、俺の」

 シンはポリポリと頬を掻きながら包みのひとつを手にし、そしてリィに突き出した。

「やる」

「……私に?」

「誕生日おめでとう」

 そう言ってにっと笑う兄に、リィも微笑み返す。

「ありがとう。……えっと、じゃあ、私も……」

 リィは送られてきた包みをひとつ手にし、シンに差し出した。

「13歳、おめでとう」

「ありがと。……あれ? お前も父さんたちに頼んでたの?」

「うん、あっちでしか造れないものだったから……」

「ふうん……俺も、だけど」

「……」

 2人はジッと見詰め合った後、貰った包みに視線を落とした。包みは、まったく同じ大きさだった。

 再び視線を交わした後、無言で包みを開ける。

 同じ箱に入っていたものは、同じものだった。

 二刀ずつの、シンプルな銀のバタフライナイフ。

「……ヴァトライカ製?」

「……ああ」

「私、お守り代わりにと思って……」

「俺も」

「一緒……だね」

「ああ」

 2人はまた顔を見合わせ、そして笑った。示し合わせたわけでもないのに、まったく同じプレゼントに笑いが止まらない。

 シルヴィを起こさないように、口を押さえて一頻り笑った後、改めて向き合った。

「誕生日おめでとう」