「兄ちゃんと姉ちゃんは、おれが守ってやっかんない。おれ、もう、好きな人がいなぐなんの、嫌だがら……。生と死は、星の流れの中にあっから、仕方ねぇごどだげんちょ……そんじもやっぱり、哀しいんだぁ……。でもない、おれ、フェイレイ……父ちゃんと母ちゃんに会えで、兄ちゃんと姉ちゃんに会えで、しあわせだよぅ。この出会いも、星の流れなんだない。おれ、いい流れに出会えで、しあわせだがら……兄ちゃんと姉ちゃんは、おれが……」

 すうっと、シルヴィの手から力が抜ける。眠ったようだ。

「シルヴィ……」

 いつも明るい妹だけれど。もしかしたら、昔を思い出して哀しくなるときがあるのだろうか。友達を忘れないようにと、碧色の髪と目、そして名前を引き継いだ心優しい幼竜は。

 それでもシルヴィは今、穏やかな顔をしている。寝入ってすぐに楽しい夢の世界に行けたのか、口元を緩めて涎まで垂らしている。

「父ちゃんの魔力、うんめぇ……」

 ……そういう夢らしい。

 シンとリィは顔を見合わせ、苦笑した。それから涎を拭ってやり、自分たちが横になっていたところに兄ちゃん・姉ちゃんバージョン五所川原を置いて身を起こす。

 そこでタイミングよく首から下げている指輪が光りだした。空間に小さな召喚魔法陣が浮かび上がり、両親から手紙が届く。

 いつもの手紙──今日は先日送っておいた、こちらの世界のコンパクトなレターセットでやってきた──に続いて、小さな包みがぽんぽんと、全部で5つ届いた。

「多くね?」

 シンは封筒を開けて中身を確認。

 手紙の内容は、シンとリィの誕生日を祝うものだった。それから、シルヴィにもプレゼントを渡すようにと書いてあった。

「これはシルヴィのぶん……。じゃあ、あとのふたつは?」

 三つは両親から子どもたちへのプレゼントだ。では、残りの二つは?