「……シン。その案は、どうかな……」

「えっ、駄目かよ?」

 まさか駄目出しされるとは思っていなかったのか、シンはショックを受けたような顔になる。

「ひとつ。黒爪は吸血鬼。人外……。姿形を変えたところで、見誤ることはないと思う……」

「う、そ、そうか」

「もうひとつ」

 リィはふうう、と更に長いため息をついた。

「同じ事を、瑠璃や龍之介にさせるつもり……?」

 その言葉に、琴音や玲音、南原や東条まで「うっ」と言葉を詰まらせた。

「えー、大丈夫だろ? 俺だってこんなにかわいくなったぞ?」

「瑠璃や龍之介は男らしい男の子……。そんな格好をさせるのは酷い……見ている方も、きっと辛い……」

「でもさー、孔雀はすげー似合ってたじゃん。だからイケると思ったんだけど……」

「孔雀は綺麗な男の子だから……!」

 リィの言葉に、シン以外全員が深く頷いた。

「……霸龍闘も駄目か?」

「霸龍闘は……やめてあげて……」

 リィは霸龍闘の女装を想像してみた。彼女の中ではギリギリOKだった。しかしなんとなく、女装を奨めたくないのだった。

「遊びでやるのはいいよ。でも、黒爪対策は、もっと別なことを考えて……」

「……分かった」

 シンは口を尖らせながら、渋々了承した。