「おっしゃああっ!」

 気合の声を上げて牛乳を一気に飲み干すと、サニタリールームからリィが戻ってきた。髪は毛先だけ、緩やかに巻かれていた。

「やっぱ、そっちのがお前らしくて似合ってるよ」

 そう言ったらリィは少し照れたように笑った。

「ありがと。……今日帰ってきたら、玲音とお菓子焼くの。シンに一番大きいの、あげる……」

「やった! 何作んのっ?」

「パウンドケーキ……」

「胡桃入れようぜ! 胡桃!」

「いいよ……」

「紅茶入ってんのも美味かったよな! バナナとかはシルヴィが喜んでたし!」

「そんなに作ったら食べられないよ……」

「いいじゃん、そしたら瑠璃一味のみんなにお裾分けしよーぜ」

「……そっか。午後から雨になるみたいだし、時間はあるからね……。うん、分かった」

「よーし、帰ったらキッチン集合なー」

 自分も混ざって作る気満々のシンは、ご機嫌の体で部屋を出て行く。

 その姿を眺め、リィも呟くのだ。

「……元気だね。……大丈夫、だね」

 お互いの心理状態が解るのは双子故なのか。

 ほっとしたような顔を見せたリィは、橘家の面々と共に朝食を取るため、シンの後に続いた。