麗しき星の花

 妹に負ける理屈は分かったものの、すぐに対応出来るかと言えば答えは否だ。

 時々修行の様子を見に来てくれる橘家当主の弟であり龍娘先生の弟子、拓斗に、高速歩法のひとつ『活歩』を教えてもらったり、他にも技を伝授してもらった。

 拓斗曰く、「基本がきちんと身についているから、2人とも飲み込みが早いよね。すぐに実践で応用出来るのも経験故かな? さすがフェイレイさんとリディルさんのお子さんたちだなぁ」──だそうだ。

 その通り、シンが出来ることは大抵リィも出来てしまう。

 シンが進化すればリィも進化するということであり、同じ技であっても更に磨きがかかっているのだ。なかなか追い抜くことは困難なのである。

「ああー、もう! もう一回!」

「はい」

 立ち上がった瞬間に、足をかけられてそのまま地面にごろん。

「油断しない」

「うがあああー!」

 こんな調子で、ちっとも勝てない。




 時間になり、見守っていたメイドさんたちからタオルを受け取り、部屋に戻ろうとすると、シルヴィが裸足で芝生を駆けてきた。

「兄ちゃん! 姉ちゃん! 見でけらんしょー!」

 重ねた両手を前に突き出し、頬を紅潮させながら駆けてきたシルヴィに、シンとリィは立ち止まる。

「どうした?」

「なにか、捕まえたの……?」

 シルヴィと目線を合わせるように、シンとリィは地面に膝をつく。

「すんごくめんこいのいだがら、兄ちゃんと姉ちゃんにやっぺど思ってぇ!」

 満面の笑みでずいっと突き出した両手の中には、めんこい……とは言いがたい、とても大きなアマガエルが鎮座していた。シンの隣でリィが小さく息を呑む。しかし、それだけに留まった。

(よく耐えた)

 シンはリィをねぎらう様に、そっと背中に手を沿えた。