麗しき星の花

「シン?」

「ん、いや、なんでもないんだ」

 そう言って首を振るシンを、リィは首を傾げたままジッと見つめる。

 そして、徐に手を伸ばした。伸ばされた手は、シンの赤い頭に乗せられた。

 ぽんぽん、と。

 慰めるように、二回叩かれる。

「……ありがと」

「ん」

 礼を言えば、コクリと頷かれる。

 何気ないやり取りに、シンは笑みを広げた。

「ありがと」

 もう一度礼を言って、リィの頬に軽くキスをする。それから手を引っ張ってベッドから下ろす。

「ほら、外行くぞ。修行、修行!」

「待って、着替えるから……」


 そうして双子の一日が始まる。

 

 

 地平線から昇り始めたばかりの太陽の光が、庭の新緑たちを目覚めさせるように差し込んでくる中。

「はぐっ」

 シンは容赦なく宙を回転させられ、そのまま地面に転がされた。先程まで寝ぼけていたとは思えない妹の体捌きと投げ技に、手も足も出ない。

 今度こそ当てる、と思って踏み込んだ攻撃は軽くいなされ、突き出した掌底に横からそっと手を添えられた。リィのくるくる回る体と流れるような足運びも相まって、それはまるでダンスの誘いを受けているかのようにも見えた。

 だがその軽やかさのまま、ぐるん、とシンの体が縦に回転した。

 何をされたのか。

 リィはもう一方の手を、四本指を曲げた状態でシンの手首に沿えただけだ。それだけでシンを回転させて地面に転がした。

 何度も食らっている技であるのに、避けられないのはリィの巧さだ。