それを微笑ましく見守る琴音、リィ、そして玲音は反対側のプールサイドにいた。もちろん全員水着姿だ。

 琴音は白地に赤い花がプリントされたワンピース。胸元の赤いリボンがワンポイントになっている。長い黒髪はポニーテールにして、いつもよりも活動的なイメージに仕上がっていた。

 リィはフリルのついたペパーミントグリーンのビキニに、白のショートパンツを合わせている。髪はふんわりとふたつくくりだ。

 2人とも競技用のシンプルなものを着用しようとしていたのだが、琴音の執事南原に「そんなの着るのは学校だけにしなさいな~。女の子なんだから可愛いものを着て!」と押し切られたのだった。

 琴音はワンピースだったので何の抵抗もなくそれを受け入れた。彼女の色白でスレンダーなスタイルに、赤のワンポイントは綺麗に映えている。

 気になるのはその赤いリボンのついた胸元。

 身長はリィとほとんど変わらない琴音。その胸元もまた、リィとほとんど変わらなかった。

 ……そう、変わらないのである。

 実は橘家の家系はそこそこボリューミィな家系なのだ。祖母の律花、叔母の花音然り。つまり、その遺伝子を色濃く受け継ぎ、母親も着痩せするタイプである琴音は、まさに希望の丘の持ち主なのである。

 それを先程からチラ、チラ、と気にしているリィ。マシュマロの膨らみ具合を張り合う相手は、友人であり絶壁仲間でもある野菊だけではないようだ。