つまり9号は完全新作五所川原だ。

 シルヴィのお父さんをイメージした、剣を持ち、マントを羽織った勇者バージョンである。明日にはお母さんをイメージした、ドレスを着たお姫様バージョン、更に数日中には中等部制服姿の兄ちゃん、姉ちゃんバージョンも用意すると言ってくれていた。


「ほひょおおおお! 父ちゃんうさぎだ!」

 勇者バージョン五所川原を抱きしめ、シルヴィは大満足。小さなシルヴィは巨大ぬいぐるみと大きさが大して変わらず、大喜びでじゃれつく姿はなんとも微笑ましい。

 そして琴音はしばらく落ち込んでいた。

「琴音ちゃん、もう少し、頑張ろうね」

 玲音が姉の肩をぽん、と叩いた。

 


 その夜からは、シルヴィは一人で眠ることになった。

 用意して貰った部屋の壁は大草原の空を思わせるような綺麗な水色で、そこに虹がかかっているかわいらしいデザインだった。

 部屋には一切物を置かず、絨毯の代わりに布団を円形に広げ、ドラゴンになってもベッドから転げ落ちる心配のない設計にしてもらった。

 そこに五所川原勇者バージョンを並べ、更にシンとリィに寝付くまで添い寝してもらえば、寂しがり屋のシルヴィも満足である。

「兄ちゃん、姉ちゃん、おやすみなんしょ」

「おやすみー」

「おやすみ、シルヴィ」


 おやすみなさい、良い夢を。