一瞬の沈黙の後、シンとルドルフはそっと扉を閉めた。
そのまま硬直したように動かなくなり、冷や汗が背中を伝い落ちていく。
「どうしました、殿下。どうぞお出ましください」
分厚い扉の向こうから、くぐもった男性の声がする。
シンとルドルフはチラリと視線を交わした後、覚悟を決めて扉を開けた。
扉の向こうで待っていたのは、黒いローブを纏った細身で長身の男性だ。長い水色の髪を後ろでひとつに結わえた、光る切っ先のように美しい青年。名はヴァンガード=ユウリ=エインズワース。元勇者のパーティにいた魔銃士で、今はルドルフの護衛官を務めている。
「や、やあ、ヴァン」
若干顔を引きつらせながらシンが声をかけると、ヴァンガードは穏やかな笑みを向けてくれた。
「こんにちは、シン」
そしてその穏やかな笑みのまま、ルドルフに向き直る。
「殿下の姿が見えないので、皇宮騎士団が動き出しました。宮殿は大騒ぎですよ」
にこにこと、ヴァンガードはあくまで穏やかにそう告げる。
うぅ、と唸り声を上げるルドルフは、しかし次の瞬間には笑顔を作った。
「すまない、ヴァンガード。どうやら居場所を伝え間違えたようだ。私はこの通り、ここにいる。まだ城に不慣れなシンとリィを案内してやっていたところなのだ」
「4年もいて不慣れですか」
「4年と言っても、シンたちの住まいは市井にある西の離宮だ。宮殿にはたまに遊びにくるくらいだし、まだ不慣れなのは仕方ないだろう? シンは方向音痴だし、リィもどこか危なっかしいから心配でな」
にこにこ笑顔で酷いことを言われた。
シンは抗議しようと口を開きかけたが、ルドルフに視線だけで黙らせられた。穏やかな微笑みの中に、何故か威圧感が含まれている。
そのまま硬直したように動かなくなり、冷や汗が背中を伝い落ちていく。
「どうしました、殿下。どうぞお出ましください」
分厚い扉の向こうから、くぐもった男性の声がする。
シンとルドルフはチラリと視線を交わした後、覚悟を決めて扉を開けた。
扉の向こうで待っていたのは、黒いローブを纏った細身で長身の男性だ。長い水色の髪を後ろでひとつに結わえた、光る切っ先のように美しい青年。名はヴァンガード=ユウリ=エインズワース。元勇者のパーティにいた魔銃士で、今はルドルフの護衛官を務めている。
「や、やあ、ヴァン」
若干顔を引きつらせながらシンが声をかけると、ヴァンガードは穏やかな笑みを向けてくれた。
「こんにちは、シン」
そしてその穏やかな笑みのまま、ルドルフに向き直る。
「殿下の姿が見えないので、皇宮騎士団が動き出しました。宮殿は大騒ぎですよ」
にこにこと、ヴァンガードはあくまで穏やかにそう告げる。
うぅ、と唸り声を上げるルドルフは、しかし次の瞬間には笑顔を作った。
「すまない、ヴァンガード。どうやら居場所を伝え間違えたようだ。私はこの通り、ここにいる。まだ城に不慣れなシンとリィを案内してやっていたところなのだ」
「4年もいて不慣れですか」
「4年と言っても、シンたちの住まいは市井にある西の離宮だ。宮殿にはたまに遊びにくるくらいだし、まだ不慣れなのは仕方ないだろう? シンは方向音痴だし、リィもどこか危なっかしいから心配でな」
にこにこ笑顔で酷いことを言われた。
シンは抗議しようと口を開きかけたが、ルドルフに視線だけで黙らせられた。穏やかな微笑みの中に、何故か威圧感が含まれている。


