しかも一気にだ。

 魔力の流れを無理やり変えられた上に一気に吸い上げられて、体中の血の流れを止められたかのような脱力感を覚え、酸欠を起こしたように頭がふらついた。

 更に、自分の中に眠っている魔力にまで手を出された。

 それはまだリィが表に出せない部分。潜在能力の部分だ。それを無理やり引き出されると、もう体が持たない。

「あ、も、だめ、シルヴィっ……」

 苦悶の表情で訴えたところで、シルヴィが口を離した。

「ぷはっ! うわあっ、姉ちゃんの魔力旨ぇなぁ! 果物みてぇに瑞々しぐて、ふわーっとあまぐて……ちっと食べ過ぎっちまったー。けぷっ。ああ、腹くっちー」

 大満足したらしいシルヴィは、機嫌よくリィの首やら耳にはむはむとかじりついた。痛くはない。甘噛みしてじゃれついているだけだから。

 だが、しかし。

 リィはふらっと後ろに倒れた。後ろにシルヴィが乗っているぶん、そちらに重心がかかってしまっていた。

「リィ!」

 シンがシルヴィごとリィを抱きとめた。

「なんだ、どうした!」

「……シン、この子……すごい、食べる……」

 息も絶え絶えに、リィは呟いた。

「えっ?」

「じょ、女王、並……」

「なんだってえええ!?」