……と、いうわけで。

「わあい! 兄ちゃん、姉ちゃん、初めますて、おれ、しるびー! よろすぐなっ!」

 肩口まである碧色の髪、笑うと見えるかわいい八重歯、溌剌とした表情の元気いっぱいな妹、シルヴィがシンとリィの元へやってきた。

「姉ちゃん、これ、父ちゃんと母ちゃんがらおがてみ! おがてみは姉ちゃんに渡せって言わっちゃ!」

「おがてみ? ……ああ、お手紙?」

「んだ!」

 にこっと笑ってリィに丸まった羊皮紙を渡したシルヴィは、キョロキョロと部屋の中を見回した。

「こごが兄ちゃんと姉ちゃんの家だか?」

「そうだよ。橘っていう人たちに借りてるんだけどね」

「ふうーん」

 シルヴィは目を輝かせながらテーブルの周りをぐるぐる周り、壁時計を見上げて首を捻ったり、クッションを掴んでポンポン投げて遊んだり、冷蔵庫を開け閉めして「なんか寒いの出てきた」とブルブルしてみたりしていた。

 なんだか初めて地球を訪れたときのシンのようだ。そう思いながら、リィは両親からの手紙を読む。


『シルヴィは古代竜という希少種で、研究者たちの実験材料にされそうなので、惑星王が皆さんを説得できるまでそちらに預けます。シルヴィがそちらにいる間は私たちも旅をお休みするので、しばらく危険はありません。安心してください』

「……刺客に狙われてる危険は、あるでしょ」

 リィは小さく溜息をついてから、更に読み進める。