麗しき星の花

「いや、彼女にするみたいなキスはしないぞ。それは特別な人とするもんだって、父さんも言ってたしな。あくまでも挨拶のキスだ」

「リィシンさん、彼女さんがいらっしゃるんですか」

「いや、いないけど……」

 いないどころか、初恋もまだだ。

 シンは初恋の人とそのまま結婚しちゃうタイプだ。父親と一緒。憧れの菜野人も確かそうだったので、彼の恋愛観念は更にそっちに傾いたに違いない。初デートでいきなり組手とかやりださないよう、リィに忠告してもらいたいものだ。

 ちなみにリィはご存知の通り、もう初恋は終わった。リィは母親に似たのだ。

「では彼女さんに怒られる心配もないということで。お願いします」

「えー、やだよ」

「だって、まったく悪意なくキスをする人が現れたら、どうでしょう? それでもリィファさんは対処出来るんですか?」

「いや、それは……どうかな」

「例えば僕が、してみたら?」

「ええ?」

「うふふ、それは駄目ですよね。僕にとってリィファさんは特別じゃないし、リィファさんにとってもそうなんですから。だからここは、お兄様のリィシンさんが」

「なんでそうなるんだよ」

「結果によっては今後、リィファさんに居眠りする場所を選ぶように注意しないといけないじゃないですか。これはリィファさんのためでもあるんです」

「う、うーん、そう、か?」

「そうですよ。天神だって、良い人ばかりじゃありませんからね? 学校で居眠りも、危険だと思いますけど……」

「うーん、確かに、ガラの悪い連中もたまにいるよな……」

「ね? だからこそ試さなくては。それはお兄様の務めだと思います」

「……そうか。まあ、確かに、リィはちょっと危機管理が足りないところもあるから、心配だけど……」