膝に乗せられたままのハードカバーの分厚い本をそっと取り上げる。巷で流行しているファンタジー小説だった。その小説が全7巻、すべてここにある。……まさか、今日中にこれを全部読むつもりだろうか。そう思わせる水筒と、お弁当が入っているらしいバスケットが本と一緒にシートの上に乗っていた。
そこに取り上げた本を乗せ、玲音はじっとリィの寝顔を見つめる。
穏やかだ。
小鳥がさえずり、蝶が花を求めて飛び回る。
その中で少女は、静かな眠りに身を委ねている。このままそっとしておいてやりたいが、玲音の中に無防備な少女をひとり置いて立ち去るという選択肢はない。
さて、どうしようか。
そう思ったところに、草を踏みしめてこちらにやってくる足音が聞こえてきた。立ち上がって振り返ると、桜の向こうに赤い頭が見えた。
「あれ、玲音か?」
やってきたのはシンだ。手には白いローブを持っている。
「リィシンさん」
「あはは、玲音が来たのに起きないのか。疲れてんだなー」
シンは眠ったままのリィに目を向け、笑いながら歩いてくる。
「確かに、こんなところで眠ってしまわれるなんて、よほど疲れているんでしょうね。リィファさん、毎日忙しそうだもの」
「まあな。やっぱ、ちょっと詰め込みすぎだよなー。注意はしてるんだけどな。言っても聞かないからさ」
「リィファさんは真面目ですもんね。でも、それより。リィシンさん、こんなところに眠っている女の子を置いていっちゃ駄目ですよー。危ないじゃないですか」
そこに取り上げた本を乗せ、玲音はじっとリィの寝顔を見つめる。
穏やかだ。
小鳥がさえずり、蝶が花を求めて飛び回る。
その中で少女は、静かな眠りに身を委ねている。このままそっとしておいてやりたいが、玲音の中に無防備な少女をひとり置いて立ち去るという選択肢はない。
さて、どうしようか。
そう思ったところに、草を踏みしめてこちらにやってくる足音が聞こえてきた。立ち上がって振り返ると、桜の向こうに赤い頭が見えた。
「あれ、玲音か?」
やってきたのはシンだ。手には白いローブを持っている。
「リィシンさん」
「あはは、玲音が来たのに起きないのか。疲れてんだなー」
シンは眠ったままのリィに目を向け、笑いながら歩いてくる。
「確かに、こんなところで眠ってしまわれるなんて、よほど疲れているんでしょうね。リィファさん、毎日忙しそうだもの」
「まあな。やっぱ、ちょっと詰め込みすぎだよなー。注意はしてるんだけどな。言っても聞かないからさ」
「リィファさんは真面目ですもんね。でも、それより。リィシンさん、こんなところに眠っている女の子を置いていっちゃ駄目ですよー。危ないじゃないですか」


