「材料が、無駄になった……もったいない……食べ物を粗末に扱ってはだめ……もったいないお化けが……もったいないお化けが……くるから……!」

 リィがぷるぷる震えている。

「やめろリィー! マジで来るだろ、もったいないお化けがああー!」

「だって、食べ物は大事だもの……作物が育つ大地は貴重だし、作ってくれる人の心が込められた食材を無駄にしたら、もったいないお化けが怒るの……!」

「それは分かる! でもお化けの話をするとお化けは来るんだ!」

「……もう、してる。シンが、言った……」

「先に言ったのはお前だー!」

 お化けの話をして、お化けが来ることを恐れる双子。
 
 それを見て玲音がにこにこと笑った。

「琴音ちゃん、食べ物は大事なんだって。だから、レシピは守らないといけないよ? 材料無駄にしないようにもだけど、食べてもらう人のことを考えてね?」

「は、はい……本当に、そうですね。申し訳ありません……」

 しゅん、と項垂れる琴音。


 それから、もったいないお化け回避のために、激辛クッキーはきちんと焼かれ、執事とメイドさんたちが頑張って全部食べてくれた。

 ありがとうございます。