話は五ヶ月ほど遡る。



 シンとリィは、地球に来て初めてのお正月を迎えた。

 少し堅苦しい橘家のお正月行事に参加をし、おいしいご馳走を食べたその夜。橘家当主、和音から『初夢』についての説明を受けた。


 初夢とは、一年で最初に見る夢のことである。

 1月1日から2日にかけて、または2日から3日にかけての夜に見る夢のことで、その夢の内容によって吉凶を占うという風習が日本にはある。

 元旦か2日の夜に紙で船を折り(または七福神が宝船に乗った絵を用意)、それを枕の下に入れて眠るのだ。

 良い夢か悪い夢かで一年の吉凶を占うのに、もしも悪い夢を見てしまったら、その年は運のない年となってしまうのかというと、そうではない。その船を近くの川へ流して縁起直しすれば良いので、安心して初夢を見るといい。

 ……と、そんな話を聞いたシンとリィは、琴音や玲音と一緒に七福神の宝船を模した船を折り、『長き夜の 遠の眠りの 皆目覚め 波乗り船の 音の良きかな』という回文を書いて枕の下に入れた。

 果たしてどんな夢が見られるのか。

 双子はドキドキしながら眠りにつく。