「先生、それは愛だと思います。」完


彼氏ができても、先生のことを思い出さないようにすることが、できなかったんです。
祥太郎君にどれだけ真剣に思いを伝えられても、忘れ去ることができなかったんです。

自分でもどうしてこんなに先生にこだわってしまうのか、わかりません。
今もなお、どうして当時と同じように胸がたかなっているのか、自分でもわかりません。

「……いっそ、もっと劣化していてくれればよかったのに……」
「怖いこと言うなよ」
「熊みたいになってるか、かっぱみたいになってるか、どっちかだったらよかったのに、先生ちっとも変わらないんですね……」
「……まあ、そう呪いかけられるくらい恨まれてても仕方な……」
「恨んでますよ、めちゃめちゃっ……こんな、いまだに、全然変わらない、変われないです、あの時から私は、全然っ……」

……どうしてだ。
先生を想う気持ちには、必ずセットで『苦しい』がついてきて、その比率は好きより多い気がするのに、それでもどうして好きなんだろう。

苦しい。
だけど、好き。好きなの、先生。

「私だって、先生ほどじゃないですけど声かけられることありました、お付き合いだってしました。でも、心のどこかにいつも先生がいて、くらべてしまって、誰かを本気で好きになることができませんでしたっ……」
「文ちゃん……、俺は」
「どうしてくれるんですか、このまま私が一生独身だったら、大変ですよ、恨みますよ、先生のこと恨みますからっ……」
「文ちゃん、聞いて」
「この四年間、このお守りを持ち歩かない日なんて、一日たりともなかったっ……」

私は、ペンケースの中に入れていたあの赤いお守りを、先生に見せた。
薄汚れているし、ひもは切れちゃったし、もう効力なんて尽きちゃっていそうだけど。