「先生、それは愛だと思います。」完


あの時引き返していれば、
あの時先生から離れていれば、
あの時先生に思いを告げなければ、
あの時先生と出会わなければ、

私は……幸せになれていた?

「先生、私、後悔なんかしてあげないですからね……」
涙を流しながら、なんとか声を振り絞った。
「後悔しないことが、先生のことを好きになった自分への、この気持ちへの、せめてもの報いだと、お、思うからっ……」

ーー私は、私なりに先生のことを全力で好きになったし、この気持ちを自分で大切にしてあげなければ、一体誰が大切にしてくれるというの。

先生を好きになってよかった。
胸を張ってそう言えなければ、この恋は死んでしまうよ。

先生の顔を見上げると、さっきまでの無表情と違って、今にも泣きそうな顔をしていることに気付いた。
それを見て、なんとなくだけど、先生も苦しんでいることに気付いた。
深い事情は分からなかったけれど、でも、先生、先生は私のことを嫌いになったわけじゃなかったんですよね?


だって嫌いになった人に、お守りなんてプレゼントしないでしょう?
ねぇ、先生、本当の気持ちは、聞かせてもらえないんですか?

それも私のためだと、言うのですか。
私は今も、あの時先生の本音を聞けなかったことを、後悔しています。