「先生、それは愛だと思います。」完


その事実がじわじわと足元から押し寄せてきて、手がカタカタと震えた。
「文ちゃん、ごめんね……」
「なにに対する、謝罪ですか……私は先生に謝られるような覚えはありません」
だって、幸せだったもの。
先生の隣にいることは、幸せだったもの。

『傷つけられるくらい、そばに来てください、先生……っ』

先生を好きになって、毎日が本当に色濃くて、余裕なんかちっともなくて、涙だってたくさん流した。
それなのに、私はちっとも先生のことを嫌いになんかなれなかったし、後悔だって1つもない。
たまに疲れちゃうときもあったけど、先生がいるから頑張ろうって思えることがたくさんあったんだ。

人を好きになるって、すごい力を持ってるんだなって、心の底から実感したんだ。


「……好きに、なれなかった。君のことを、ちゃんと」

だけどそれは、私だけの一方的な想いだったんだね、先生。

「それに対する謝罪だよ。本当に、ごめん……」

好きになれなくてごめん、なんて言われたら、私はもう何も言えないよ。
ひどいな、先生。
こんなに私の胸の中をかき乱しておいて、そんな一言で終わらせてしまうなんて。
心美ちゃんの忠告をちゃんと聞いておけばよかったのかな。
そしたらこんな風に傷つかずに済んだのかな。