「ねぇ付き合ったら、いつか先生の駄目な部分がバレる日が来るよ。……その時先生は、傷ついたあの子を見ていられるの? ちゃんと傷つけてしまったことに、気づけるの?」
「……楠、もう分かったから」
「きっとその時先生は後悔するんだよ、あの子の取り戻せない時間を思って」
「楠、もう教室に戻りなさい、時間だ」
「ねぇ先生っ、私なら幻滅しないよ!? だって私もあなたと同じだものっ」

どうして彼女は、こんなに縋る様な告白をするんだろう。
何かに訴えかけるような、何かに助けを求めるようなその瞳から、俺は、すぐに目を逸らすことが出来なかった。