「あの、本当に大丈夫なんで、ありがとうございます」
「今時間ある? 俺らこれから漫画喫茶行くところだったんだけど、一緒に遊ぼうよ」
「いやあの、これから用事もあるので……」
「LINEやってる? 教えて」
は、話が全く噛み合わない……。
しつこいので、なんだか少しげんなりしてきた。
怖いけど、埒が明かないからここは少し強めに断ろう。そう思い、私は腕を振り払おうとしたが、ぎゅっと力を込められて思わず眉を顰めた。
「LINEくらいさ、いいじゃん。俺ら将来有望だよ?」
何この人、なんか怖い……。
「そ、そういう問題じゃ……」
――完全に狼狽えてしまったその時、突然腕が離された。
驚き顔を上げると、そこには男子生徒の腕を掴みあげる高橋先生がいた。
「他校生に絡むんじゃない。お前らめっちゃ目立ってんぞ」
「うわ、高橋じゃん、邪魔すんなよ東海林の子とはあまり出会えないんだからさー」
「自校で賄えよ、ほら、帰って勉強しろ」
高橋先生の言葉に、男子生徒は悪態をつきながら帰っていった。
私は、久々に見る高橋に驚き見惚れてしまった。
ぼうっとそこに突っ立っていると、高橋先生に頭を小突かれた。
「お前なー、女の子が一人でこんなところで待ってるんじゃない。用事があったんなら、もう少し離れたところで待ってなさい」



