「 好 き 」

と、そのとき。



「きゃーーーーーっ‼︎」



「葵く〜ん‼︎こっち向いて〜っ」



廊下が一気に騒がしくなる。




「来た…‼︎」




美咲ちゃんも莉子ちゃんも、目をキラキラ輝かせて葵くんが来る方をじーっと見つめている。



あたしも、もちろん葵くんが来るだろう方向に目を向けた。




だって、顔…よく見たことないし。




すると、廊下の曲がり角から、
男子と仲良さそうに話しながら歩いてくる葵くんの姿を見つけた。




そのとき、あたしは周りの音が聞こえなくなるくらい葵くんに集中していた。




「…あれが…園田 葵くん…」




ひとりポツンと呟くと、
一気に周りの温度が上がってゆく。




「莉子と光里となづ‼︎
ほら葵くん近い…よ…」



美咲ちゃんがあたし達の顔を見ているときに、美咲ちゃんと莉子ちゃんと光里はあたしの顔を見て固まっていた。




「…なづ?」




光里から話しかけられて、あたしはハッ‼︎と我に返る。




「ご、ごめん…
あまりにもカッコ良かったから…」




「…………‼︎」




あんなにかっこいい人がいるのかと思うくらい、カッコ良かったから。




あたし達の横を通り過ぎて教室に入った葵くんから、あたしはずーっと目を離せずにいた。