真夏でも、窓を開けていると、少し涼しい風が入ってくる。

蝉の声と、採点のペンの音を聞きながら、私は先生をボーッとみていた。


私の机の反対側にイスを持ってきて座っている。背が高いからか、少し猫背だ。


あ、また寝癖。

ちょっとタバコの匂いがする。 




先生、意外と…かっこいいかも。




いきなり先生が顔を上げた。


「わっ!!」

もしかして、今の口に出してた?!


「わっ…て、失礼だな。」


「ご…ごめんなさいっ」


よかった、違ったみたい。


「81点。」


「え?」


「ギリギリだが合格だ。」


「やっ…やったー…」


「なんだ。もう少し嬉しそうにできないのか。」


そう言うと、先生はガタンとイスから立ち上がった。


「ほら、行くぞ。」


「えっ?どこに?」



「だから…コンビニ。」


私は、ちょっと嬉しくなって、小走りで先生の後を追った。