夏休み補習は淡々と過ぎ、あっという間に4日目を迎えた。


先生は相変わらず黙々と教科書を進め、
私は一対一の逃げられない状況の中、なんとか着いていくのに必死だった。


今日もまた、同じように過ぎていく…はずだった。


「秋野。」


「…はい?」


黒板の計算式をノートに写していると、先生が珍しく話しかけてきた。


「お前、好きな食べ物は何だ。」


「はあ、好きな食べ物…ですか?」


いきなりなんだ?


「そうだ。何かあるか?」


「んー、やっぱり甘いモノが好きかなー。」


「…甘いものか。」


「あ、そうそう。コンビニで今期間限定で売ってる、ハーゴンダッツのチョコミントアイス!あれめっちゃ美味しくてハマってる!」



でも、ちょっとお高いから、たまーにしか食べれないんだよね。



「そうか。」


先生は興味無さそうに言った。


なにさ、自分から聞いたくせに!


ちょっとムッとして先生を見ると、一枚の紙を机の上に置いた。


「今から確認テストだ。…合格点は80点。」


「えぇー!!!聞いてない!」


「合格したら」


合格したら?



「その好物のアイス、奢ってやる。」