黄泉の本屋さん




「戻」



浅葱が囁くと、暁が風に包まれ扇子の姿に代わる。
見るのは二回目だけど、やっぱり不思議だ。

人間じゃないんだと。
ここは、私の知っている場所ではないのだと。




思い知る。




「汝(なんじ)、姓を黒瀬、名を健太郎とする。神の代行者である我、浅葱と契約を結び、その心を我に伝えよ」



扇子を黒瀬さんに向け、淡々と呟くと、扇子を一振りし開きながら。




「開」




強い声でそう言い放った。



その瞬間、扇子から強い風が舞い上がる。
黒瀬さんの身体を包み込み、竜巻のように舞い上がった風が部屋を駆け巡った。




「わっ」



吹き飛ばされそうな風に、思わずバランスを崩しそうになる。
それを必死に踏ん張って支えた。